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うふふ通信

トップページ > うふふ通信 > 里山の再生を唄う、ドングリのお酒「mori no uta」

2025.08.25

里山の再生を唄う、ドングリのお酒「mori no uta」

▼mori no uta 720ml

https://www.teradahonke.co.jp/fs/terada/gd142

 

「mori no uta」は、谷津田で自生するドングリが入ったお酒です。

元々は、2023年春に京都で開催されたnoma kyotoのために醸しました。

 

2022年の稲刈りの後、足元を見ると谷津田の周囲にたくさんのドングリが落ちていました。

植物に詳しいスタッフが、「スダジイ」という食べられるドングリだと教えてくれました。

 

ドングリは日本に稲作が伝わる前の主食のひとつです。そんなドングリとお米が一つのお酒になると面白いんじゃないかと思いました。

「mori no uta」を今回改めて造ったのは、消えゆく谷津田の美しい自然や絶滅危惧種の「サシバ」というタカのことを伝えるためです。

スダジイの実を天日干しすると、外皮が取りやすくなる。
この後、スダジイの炊き込みご飯をつくり仕込みに使う。

 

寺田本家は、耕作放棄地だった山間の田んぼ(谷津田:やつだ)を復田して、在来種のお米を育てています。

谷津田は、山林に囲まれた谷あいの棚田の田んぼです。

地域の農家さんは、「山がちの田んぼの米は旨かった」といいます。

山の栄養豊富な水や、多様な生き物の恵みによってお米がいきいきとしてくるのです。

 

しかし、谷津田は農業用水が通っておらず、山水や天水を頼りにしたり、機械が入れない場所もあるので、休耕田になりがちです。

山も管理がされずに売られ、土砂採取やソーラーパネル建設によって切り崩されて、多くの生き物の住処が奪われたり、水源がなくなることもあります。

春、蔵人たちが田植えをする。谷津田には、草花や生き物が息づき、
爽やかな風が流れる。

秋、収穫の時を待つ稲、全身の栄養を穂に送り、
私たちの生きる糧や次の年の種となる。

開発の進む隣の山。遺跡が発見されて一時作業がストップしたが、
土砂採取が再開されている。

 

私たちの谷津田も片側の山の開発が進み、数年後には更地になる予定です。

ある時、そんな谷津田で田んぼ仕事をしていると、カラスほどの大きさの猛禽類がいることに気づきました。

絶滅危惧種の猛禽類「サシバ」。カラスほどの中型のタカで、
春から秋にかけて営巣し、冬は越冬地で過ごす渡り鳥。

 

そのことを以前から交流のある日本自然保護協会の出島さんに伝えると、息子さんとともに寺田本家に遊びにきてくれて、その鳥は「サシバ」と呼ばれる渡り鳥だと分かりました。

寺田本家の谷津田でカエルや水生昆虫のミズカマキリを見つけて、親子で楽しそうに遊ぶ出島さんから、

おもむろに「サシバの調査をしませんか?」とご提案いただきました。

谷津田の生き物観察会に参加する
日本自然保護協会の出島さん

 

サシバは「ピックイー」という鳴き声がかわいい、中型の絶滅危惧種のタカです。

里山の生態系の頂点にいて、たくさんのヘビやカエル、昆虫を食べています。

幼鳥が巣立つまでに食べる食事の量は5kg。

 

谷津田のような山林と田んぼがある地形を好んで巣作りし、田んぼで狩りをします。

サシバが子育てできるということは、その場所に多様で多くの生き物がいるということです。

近年、休耕田が増えて狩場が草で覆われて狩りができなくなったり、開発で営巣地がなくなったりすることで数を大きく減らしています。

ヘビを運ぶサシバ

幼鳥の巣立ち。巣立ちの初期は、巣の近くで親からエサをもらったり
飛ぶ練習をする。

 

出島さんの熱量に心動かされ、ハンドメイドコスメをつくるLUSHさんから助成金をいただき、神崎町のサシバを含めた生き物の生態調査がはじまりました。

2年間の調査で、ニホンアカガエルやトウキョウダルマガエルなど、絶滅危惧種を含む、68種類(哺乳類8種、鳥類47種、両生類・爬虫類13種)の里山の生き物が見つかりました。

 

そして、8つのサシバのつがいが神崎町で営巣していそうだということが確認されました。

他の地域と比較してもサシバの密集度が高い地域だそうです。

アカガエルのこども

サシバの雛。はじめは白い産毛で覆われているがしだいに茶色い羽根が
混じる。孵化から35日ほど経った6月下旬~7月上旬ごろに巣立つ。

 

サシバに導かれるように、神崎の自然を守りたいと、寺田本家を含めた神崎町の有志が集い「こうざき土と暮らしの会」が生まれました。

大人たちが地域の自然を本気で楽しむことで、自然に寄り添う暮らしを伝える活動をしています。

 

土と暮らしの会では、岩手大学の東先生や調査員の村石さん、日本自然保護協会の出島さんをお迎えして、

町内向けのサシバの勉強会を開催したり、小学生向けの谷津田の生き物観察会を開催しました。

子どもたちに「サシバのことを知ってる?」と聞くと、小学生の半分くらいが見たことあるといってくれました。

 

複数の新聞でも取り上げられて、少しずつですがサシバのことや谷津田のことが町民の間で知られるようになってきました。

今後もサシバの調査を進めながら、自然に寄り添い、自然に学んで暮らすように、歩みを進めていきます。

地元の小学生を対象にした自然観察会、サシバの暮らしや、
住みやすい環境について学習した。

 

美しい風景が美味しいものをつくると信じて、

生命にあふれ、心地よい風の流れる、この風景を残していきたいです。

 

地域の自然を守り、再生していく。

ひとりひとりが一歩を進める意識を、このお酒に込めて。

 

▼mori no uta 720ml

https://www.teradahonke.co.jp/fs/terada/gd142

イラスト:鈴木さつき @towatowato5